FC2ブログ

写真家 岡田敦 - Office Okada | Official Blog

I kiss the world by taking the photograph

■ 『北海道新聞』2008年09月15日

◇ 「北海道アートエリア21世紀」

「自傷行為にみる生への希求」

 目を閉じ、少しうつむいて自らの肩を抱く女性。あどけなさやほっそりした体のためか、少女か少年にも見える。

 一目見てひかれるのはこうした若々しさや、静かに自らをいとおしむような姿であろう。それから細部に目を凝らすと、右腕にいくつもの切り傷の跡があることに気付く。リストカット(自傷行為)による傷である。

 この作品は現代の若者たちをモデルにした岡田敦の写真集「Iam」に掲載の一点。他の写真も真っ白な背景に、顔または裸の身体を文字通り正面からとらえている。

 自傷行為は、傷みを通して生きていることを認識するものともいう。しかし、生の強烈な意志は誰でも変わりがない。写真集のなかで傷のある者とない者を混在させたのは、写す側と写される側でこうした思いが共有されているからか。そしてそうした生への希求はページを繰るほどに、熱く大きなうねりとなって伝わってくる。

 岡田敦は1979年稚内生まれ。本写真集で今年の木村伊兵衛写真賞を受賞した新進気鋭の写真家である。

(なかむら・せいじ=道立旭川美術館学芸課長)
  1. 2008/09/16(火) 20:16:20|
  2. 写真集「I am」関連