FC2ブログ

写真家 岡田敦 - Office Okada | Official Blog

I kiss the world by taking the photograph

■ 「幻の島 ユルリ島」写真家 岡田敦 / 2014


* 動画はリンク先のYouTubeでご覧ください


「ユルリ島の野生馬」

 北海道根室沖にあるユルリ島には、かつて昆布漁の労力として島に持ち込まれた馬の子孫が、無人島となったいまでも生きている。台地状の島の海岸線の大部分は30~40mの絶壁をなし、岩礁で囲まれている。その切り立った断崖の上に昆布を引き上げるため、馬の力が必要だった。

 ユルリ島に馬がはじめて持ち込まれたのは1950年頃である。戦後、本土に昆布の干場を持たなかった漁師が、土地を求めて島に移り住み、切り立った断崖上にある干場に昆布を引き上げるため、馬を島に持ち込んだ。最も多い時期には、約9軒の番屋と7基の櫓があった。いまでも島には櫓跡が数カ所残り、干場跡に残る小石が当時の生活を偲ばせる。

 しかし昭和40年代(1965年以降)になると、本土に新しい干場ができ、エンジン付きの船も普及しはじめた。やがて島から人が去りはじめ、最後の漁師が島を後にしたのは、1971年のことだった。島の馬は「連れてかえってきたところで馬を放つ場所がない。せめて余生を島で暮らせたら」という漁師の思いから、餌も豊富なユルリ島に残された。本土でもトラックの普及により、多くの家が馬を売った。

 その後ユルリ島の馬は、種馬だけが入替えられ、雄馬が生まれると間引きされた。多い時には約30頭の馬が生息し、給餌を受けず、交配や出産は自然にまかされた。しかし2006年、間引きをしていた漁師たちの高齢化もあり、種馬が島から引き上げられた。島には14頭の雌馬だけが残り、馬はやがて消えゆく運命となった。


写真家 岡田 敦


ユルリ島ホームページ
http://okadaatsushi.com/yururi_island.html


注・ユルリ島は北海道の天然記念物に指定されているため島への無断上陸は固く禁止されている。本作品は根室市から島の環境及び動植物の調査、研究のため撮影を委託されたものである。


  1. 2015/10/29(木) 00:00:00|
  2. 作品「ユルリ島」関連