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写真家 岡田敦 - Office Okada | Official Blog

I kiss the world by taking the photograph

写真家・岡田敦『MOTHER』が伝えるTrues / 木下 恵修

写真家・岡田敦『MOTHER』が伝えるTrues / 木下 恵修

1 『MOTHER』
 2014年に発売された『MOTHER』(柏艪舎)は、2008年に木村伊兵衛写真賞を受賞した『I am』(赤々舎)、2012年の『世界』(同)とともに、三部作を成す柱のひとつと考えられる。岡田はこれまでの作品で、内なる感情や生、存在、死、また崇高なるものなどと併存または内包される普遍的な美にアプローチしてきた。三部作の集大成とも言うべき今作は、ひとりの女性が出産する過程をルポルタージュのようにまとめ、「母なるもの」への大いなるリスペクトを示した。
 写真集には、出産のために病院へ向かうところから出産後の安堵、幸福に満ちた空気感までが収められており、岡田は時間軸上で撮影したカットのほぼすべてを採用したという。そのことが、いっそうのリアルなストーリー感を醸し、まるで暗転のない舞台を見ているかのようだ。BEAMS B GALLERY(東京および札幌)で行われた同作品のエキシビションでは、前作『世界』に収録された妊婦などのカットを含め展示し、三部作としてのつながりや輪廻する観念を表現しているように感じられた。
 ここでいう輪廻する観念とは、作品づくりへの姿勢そのものと言っていい。「出産は、写真を始めた二十歳のときから撮りたいと思っていた対象であった」と岡田は振り返っているが、それを読者に予見させるかのように写真集『I am』の冒頭には妊婦の姿を配し、『世界』にも出産シーンを織り交ぜている。ただし、写真集『世界』に収録されている出産シーンは、未知なる世界との境界線上を示すかのごとく、暗く荘厳なイメージを持っているのに対し、『MOTHER』には、人(人生)の起点としての出産、産む痛み、そこにある生死観、それらすべてを包括するような喜びと明るさが見える。 「自分」という存在(I am)、「自分」が含まれる場所・トポス(世界)からの、歴史を紡いできた人間の営みや普遍を象徴する存在としての『MOTHER』。まさに『I am』から7年の時を経て、必然のテーマとして一回りし戻ってきたのだ。


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https://www.facebook.com/okadaatsushi.official/posts/700991983338903
 
 
  1. 2015/06/15(月) 00:00:00|
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