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写真家 岡田敦 - Office Okada | Official Blog

I kiss the world by taking the photograph

■ 『北海道新聞』2019年02月12日

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  1. 2019/02/14(木) 00:00:00|
  2. 作品「ユルリ島」関連

■ 「My Horse」にエッセイを寄稿いたしました

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「ユルリ島の馬─北海道の東の果てで紡がれる物語─」岡田敦

 3頭の仔馬を乗せた船が、出港の時を迎えようとしていた。馬を囲み漁師や関係者が話をしている。

「めんこい馬だ、道産子か?」
「こっこ馬だ、去年の春うまれたんだ」
「俺たち使ってた馬はでっかい馬だ」
「島さ連れてくの、何年ぶりだべか?」

 北海道の東の果てにある小さな港が活気にあふれていた。年配の漁師はかつての集落の一大行事を懐かしむように作業をしている。その笑顔が、集落の人たちがこの日を楽しみにしていたことを物語っていた。波は穏やかで、馬はこれから何処へゆくのかも知らず、船上でうとうとしている。僕はファインダー越しに馬に近づき、写真を撮った。その瞳はとても穏やかで、澄んでいた。船頭のかけ声で船がゆっくりと動きだす。やがて船は港を離れ、その向かう先には小さな島影が見えた。2018年9月11日、それはかつて「馬の楽園」と呼ばれたユルリ島の、新しい歴史の扉を開く船出だった。

 北海道根室市昆布盛の沖合約2.6kmに浮かぶユルリ島。僕がその小さな島に興味を持ったきっかけは今から10年ほど前、東京で仲良くしている編集者の一言だった。
「岡田君、北海道出身だよね。ユルリ島、知ってる? 無人島に野生化した馬がいるんだって」
 北海道の東の果てに、野生の馬だけが暮らす島がある。僕がユルリ島に興味を持ったのはそれからである。しかし、当時は情報もなく、調べて分かることはわずかだった。島の馬はかつて昆布漁の労力として働いていた馬の子孫だという。その馬が野生化し今でも島に生息しているらしい。しかし、現在は国の鳥獣保護区や道の天然記念物に指定されているため上陸することはできない。そして、多い時には30頭ほどいた馬も、現在は牝馬しかおらず、馬はやがて消えゆく運命だという。
 僕は写真を撮らせて欲しいと問い合わせた。しかし、学術調査以外での上陸は認められておらず、「消えゆく馬を記録する」という理由では島へ渡ることはできなかった。馬の需要の衰退と時を同じくしてやってきた野鳥保護の波に押され、ユルリ島の馬はすでに忘れ去られた過去の存在になっていた。許可が下りたのはそれから1年半後、2011年の夏だった。僕は地図を片手に根室へ向かった。
 北海道の東の玄関口、釧路空港から車で東へ更に2時間、この先に街などあるのだろうかと不安になった頃、かつて東洋一の馬市が開かれたという根室市厚床に辿り着く。北方領土をあわせれば、多い時にはこの地域に1万3千頭の馬がいたという。しかし、今ではその面影もほとんどない。北海道の開拓に貢献した馬は、機械化とともに静かに消えていた。馬産地としての名残りといえば、市場跡に残る巨大な馬頭観音といくつかの碑、管内に残るわずかな牧場、そして根室半島沖に浮かぶユルリ島の馬だけだろうか。そのユルリ島は、市場跡から車で更に東へ30分走った、昆布盛という小さな集落の沖合にある。
 港は霧で覆われていた。この日が特別だったわけではない。根室の夏は毎日のように海霧が発生する。僕は漁師に送り迎えを頼み、船に乗った。昆布船だ。島に大型船を着岸できる港などない。戦後、エンジン付きの船もない時代、馬を舟に乗せ、艪を手で漕ぎ、漁師たちは昆布の干場を求めて島へ渡った。僕は船に揺られながら、当時の暮らしに思いを馳せた。
 20分ほどすると、霧のなかに無人島があらわれた。島全体が断崖に囲まれている。この崖の上に昆布を引き上げるため、馬の力が必要だった。僕は小さな突堤に飛び移り、梯子を登り、上陸した。天候がよければ対岸の昆布盛から双眼鏡で馬の姿も見えるというが、この日は上陸しても馬の姿は見えない。ありがたいことに2人の地元の方が案内役として同行してくれた。僕は助言にしたがい、島で唯一の建造物、緩島灯台を目指すことにした。
 島にはいくつかの小川が流れていた。足もとには高山植物が咲き乱れている。馬が草丈の高い植物を好んで食べるため、島の草丈は低い状態で保たれているという。本来なら日が遮られ、勢力を維持することのできない高山植物が咲き乱れているのはそのためだ。島の中心には高層湿原が広がり、馬の飲み水となる湧き水も絶えないという。つまりこの濃い霧が、島の独特な生態系を育んでいるのだ。
 灯台に近ずくと、霧のなかから突如、馬が姿をあらわした。目をこらすと十数頭の馬がじっとこちらを見ている。無造作に伸びた鬣、無骨な脚、ごつごつとした強靭な体、それは速く、美しく走るためのものではない。そっと近づき、手を伸ばす。馬はすっと身をかわし、こちらを見る。一定の距離を保つが、決して遠くへ逃げようとはしない。そして何事もなかったかのように、また草を食む。人間に媚びず、この島のあるじは自分たちだという、不思議な気高さを感じた。無人島で生きる野生馬と聞けば、劣悪な環境で生きる痩せ細った馬の姿を想像する人もいるのかもしれない。だがユルリ島の馬はそうではなかった。僕ははじめて、この島が「馬の楽園」と呼ばれる意味を理解したような気がした。

 それから7年が経ち、ユルリ島は大きな転換期を迎えた。地元の人たちが話し合い、3頭にまで減った島の馬を存続させることを決めたのだ。意味や理由を問われる時代に、風土を守る、あるいは環境を保全するというのは簡単なことではないだろう。しかし、労力としての馬の役割もなくなり、馬の需要が限られるなか、北海道の東の果てでどんな物語が紡がれるのか、僕は楽しみにしている。
 2018年9月11日、ユルリ島に新たに3頭の馬が放たれた。


【プロフィール】
岡田敦(おかだ・あつし)
写真家。北海道生まれ。東京在住。
2008年、“写真界の芥川賞”といわれる木村伊兵衛写真賞を受賞。その他、北海道文化奨励賞、東川賞特別作家賞、富士フォトサロン新人賞などを受賞し、海外からも高い注目を集めている。2011年から、北海道根室半島沖のユルリ島に生息する半野生馬の撮影を続け、WEBサイト「ユルリ島」などで情報を発信している。
オフィシャルサイト
http://okadaatsushi.com


『My Horse』1月号
2019年1月1日発行
価格:540円(税、送料込)
発行:(株)ユニオンオーナーズクラブ
https://www.union-oc.co.jp/order/backno/list.do
 
 
  1. 2019/01/21(月) 00:00:00|
  2. 作品「ユルリ島」関連

■ ユルリのまきば 浜松フットパス

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ユルリのまきば

ユルリ島に渡った3頭の仔馬は、島の対岸にある根室の牧場で生まれました。牧場からはユルリ島が望め、馬は島と似たような環境で自然放牧されていました。

夏の終わりに北海道で開かれた馬市に仔馬がセリにだされていたところ、馬肉業者とユルリ島を考える会が競り合い、肉にならず島に渡ることになったそうです。

仔馬が生まれた牧場はフットパスのルートとして開放されているので、200円のルートマップを購入すれば仔馬の家族に会えます。JR花咲線のポスターやNikonのCM、橋本奈々未さんの「恋する文学」などでも紹介した牧場です。


浜松フットパス
フットパスはその地域の「昔からあるありのままの風景」を楽しむ小道です。その風景は、その地域の風土に根ざした伝統的な生活スタイル、土地への愛着などの結果として生み出され維持されてきました。浜松フットパスは、かつて根室の漁師が漁業の労力として飼っていた馬を放牧していた場所です。現在は私有地ですが、牧場主のご厚意で牧場の一部がフットパスのルートとして開放されています。

場所:JR花咲線・落石駅から約1.5km
ルートマップ販売所:道の駅スワン44、根室観光インフォメーションセンター、落石漁業協同組合、根室石油(落石給油所)など
http://www.nemuro-footpath.com/ochiishi/hamamatsu-path/

#ユルリ島
#ユルリのまきば
#浜松フットパス
#地球探索鉄道花咲線
#私のNIKKOR
#橋本奈々未の恋する文学
 
 
  1. 2019/01/15(火) 00:00:00|
  2. 作品「ユルリ島」関連

■ 『釧路新聞』2018年10月23日

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  1. 2018/10/25(木) 00:00:00|
  2. 作品「ユルリ島」関連

■ 『根室新聞』2018年10月23日

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  1. 2018/10/25(木) 00:00:00|
  2. 作品「ユルリ島」関連

■ 『北海道新聞』2018年10月23日

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  1. 2018/10/25(木) 00:00:00|
  2. 作品「ユルリ島」関連

■ 「Yururi Island the 2nd Story」


Yururi Island #3 from OKADA Atsushi on Vimeo.


Yururi Island the 2nd Story
In Search of a Beautiful World
A Film by Atsushi Okada

ユルリ島・第2章がはじまりました。
下記のWebサイトに映像作品をアップいたしました。
ぜひご覧ください。

OKADA Atsushi Vimeo
https://vimeo.com/okada

 
 
  1. 2018/10/15(月) 00:00:00|
  2. 作品「ユルリ島」関連

■ JRA発行「ぱどっく」にエッセイを寄稿いたしました

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「北海道、ユルリ島の野生馬」

 馬は走るのが好きな動物だと思っていた。無人島に生息する野生馬と聞けばなおさら、無造作に伸びた鬣を風になびかせ、大地を駆け巡っている姿を想像していた。だが、ユルリ島の馬は穏やかだった。島に自生するミヤコザサをのんびりと食べ、夏は高山植物が咲き乱れる草原のなかでうたた寝をしている。

 私がユルリ島の存在を知ったのは2010年頃だ。当時はインターネットで「ユルリ島」と検索しても「北海道の天然記念物」「根室沖の無人島」「野生馬の楽園」といった簡単な情報しか見つからず、北海道の人にとってもほぼ無名の島だった。私はユルリ島の馬の記録を文化として残す必要性を感じ、写真を撮らせて欲しいと問い合わせた。しかし学術研究以外での上陸は認められておらず、許可をいただくのに約一年半もの時間を費やした。

 ユルリ島に昆布漁の労力として馬が持ち込まれたのは1950年頃だ。多い時には約九軒の番屋がたち島は昆布の干場として利用された。しかしエンジン付きの船が普及すると、島はやがて無人島となった。労力としての馬の役割が終わり、多くの家が馬を売るなか、ユルリ島の馬は「肉として売るのは忍びない」という漁師の思いから、餌も豊富なユルリ島に残された。馬がいることで草丈は低く保たれ貴重な高山植物が美しく咲き誇る。1976年には北海道自然環境保全地域に指定された。しかし2006年、間引きをしていた漁師たちの高齢化もあり、牡馬が島から引き上げられた。

 牡馬がいなくなり、やがて消えゆく運命となったユルリ島の馬。多い時には約30頭の馬が生息していたが、多くの伝統や文化が後継者が途絶え終わりを迎えるように、ユルリ島の馬もこのままいなくなるのだろうと思われていた時、「根室・落石地区と幻の島ユルリを考える会」が昨年設立された。馬の役割が減り、北海道からもその姿が消えてゆくなか、地元の方がどのような答えを導きだすのか、私は楽しみにしている。
 
 
  1. 2018/08/01(水) 00:00:00|
  2. 作品「ユルリ島」関連

■ 『北海道新聞』2018年7月6日

" ユルリ島の馬残そう 根室の市民団体、ネットで資金募る 高山植物、海鳥と共生 "

根室市の市民団体が根室半島沖の無人島ユルリ島に放牧する馬の購入費を調達するため、インターネット上で寄付を募るクラウドファンディング(CF)を始めた。多くの高山植物が生育する島は初夏、花畑のように見える。馬はササなどを食べ、希少な高山植物には口を付けないため、島は高山植物や海鳥が共生する珍しい環境が形成されているが、現在3頭にまで減っている。

団体は「根室・落石地区と幻の島ユルリを考える会」。島の魅力を発信しようと昨年9月に設立され、会員は市内の経済人や自然愛好家ら65人。

ユルリ島は面積168ヘクタールの台地状の小島で、落石漁協が所有。島の一部はエトピリカなど海鳥の繁殖地として1963年に道の天然記念物に指定され、現在は学術調査など以外の上陸は許可されていない。

CFは8月31日まで。当面100万円を目標に集め、馬1頭の購入と輸送費用に充てる。馬の種類は選定中。最終的には300万円を集め、3頭を運び入れたい考えだ。CFのサイトはhttps://readyfor.jp/projects/yururi


□ ユルリ島・クラウドファンディング
https://readyfor.jp/projects/yururi

□ 北海道新聞
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/206223
 
 
  1. 2018/07/07(土) 00:00:00|
  2. 作品「ユルリ島」関連

■ 『毎日新聞』2018年07月03日

仕事「毎日新聞」2018年07月03日s

『毎日新聞』2018年7月3日
新しい馬を 根室・市民団体がネットで寄付募る

コンブを運ぶために使われていた馬が余生を過ごしている根室市沖の無人島・ユルリ島に新しい馬を導入して現在の環境を維持しようと2日、市民団体がインターネットで寄付金を集めるクラウドファンディング(CF)をスタートさせた。100万円(馬1頭分)を当初目標とし、最終的には3頭の放牧を目指す。

計画を進めているのは「根室・落石地区と幻の島ユルリを考える会」(田嶋靖照会長・65人)。ユルリ島には1950年代、水揚げされたコンブを高さ30~40メートルある崖の上に干すために運ぶ馬が持ち込まれ、最盛期には約30頭が活躍した。動力船の普及によって役目を終え、島で野生状態のまま過ごしてきたが、高齢化が進み今では3頭だけになった。

そこで同会は「いずれ馬がいなくなれば背の高い草が生い茂り、花畑のような美しい風景は失われてしまう」と立ち上がった。相談役の早川昭貴彦さん(71)は、馬と共生していた「歴史遺産としても残したい」と語る。

「誰も入れない幻の島。鳥・花・馬が共生するユルリ島を守りたい!」と銘打ち、クラウドファンディングサイト「Readyfor」で8月末まで支援金を募る。支援額に応じて馬の命名権、馬の撮影を続ける写真家、岡田敦さんのポストカード、海の幸の詰め合わせなどの返礼を用意している。

ユルリ島は、エトピリカやチシマウガラスなどの希少な海鳥の繁殖地で、高山植物の宝庫。島の一部が道の天然記念物や国の鳥獣保護区に指定され、一般の立ち入りはできない。【本間浩昭】

☆ ユルリ島・クラウドファンディング
https://readyfor.jp/projects/yururi

 
 
  1. 2018/07/05(木) 00:00:00|
  2. 作品「ユルリ島」関連
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