BEAMS Online Shop にてオリジナルプリントの販売をしています http://shop.beams.co.jp/shop/cultuart/goods.html?gid=2453266 第33回木村伊兵衛写真賞を受賞した、写真家・岡田敦のオリジナルプリント。
Size (Sheet Size):H18cm×W13cm
仕様:デジタルプリント(no frame)
エディション:30
価格:¥10,800(税込)
2014/07/02(水) 00:00:00 |
写真集「世界」関連
「岡田敦『世界』レポート。美の視点についての一考察」 木下 恵修
■ 第一章
2012年9月に赤々舎から発売(2013年5月に新装版がリリース) された写真集『世界』は、岡田敦にとって木村伊兵衛写真賞を受 賞した『I am(アイアム)』以来5年越しとなる、同社からの写真 集だ。岡田の得意とするポートレートはもちろん、これまで積極 的に発表してこなかった風景を含めた様々なカットが、 364mm×249mm(ほぼB4サイズ)・170頁というボリュームで収 められており、新しくも深みを増した岡田の表現世界に触れるこ とができる。2012年の発売を前後してAKAAKA GALLERY(東京・ 青山)、BEAMS B GALLERY(東京・新宿)でエキシビションを実 施。単なる写真集の抜粋版ではない、見る側にいくつもの問いを 投げかけるインストールが、そこにあった。
最新作『世界』を考える上でまず触れておきたいのは、岡田の 名前と作風を世に知らしめた傑作『I am』についてだ。 『I am』は、自傷行為に及んでしまった女性の裸体を主な被写 体として配置。白を基調とした淡い空間に人物のカットのみを構 成し、自傷という苦のイメージとは裏腹に、それらを内包する 「美しさ」に言及する作品だった。苦のイメージを持つ腕の傷 と、美的感覚に満ちた裸体および写真集全体の雰囲気。さらに は、腕の傷をも美的に捉える概念、観念。この、岡田によって投 げ入れられた表現は、世の常として賞賛と批判の両価値を生んだ が、世間の感覚を完全に止揚したかのようなクリエイティビ ティーは圧巻だった。被写体への歩み寄りと飽くなき芸術性への ストイックさ、またルポルタージュとしての側面。こうした超分 野的な試みを持つ「新しい芸術作品」としての『I am』は、岡田 自身が「新しいジャーナリズムだった」と述べているように、 堂々たる受賞作だったと言える。 社会派的な一面を醸しつつも、被写体を、純粋に美を伴う存在 として認識させる「岡田様式」は、新作『世界』にも存分に受け 継がれ、一切の精神的ブレもなく研ぎ澄まされている。そうした 意味で『世界』は、単に岡田の新作というだけでなく、写真界に おける先進の作品と位置づけられるのかも知れない。
◇ 木下恵修(キノシタ・ケイシウ) 1973年、福岡県生まれ。東京工芸大学大学院芸術学研究科写真領 域修了。修士(芸術学)。大学ティーチングアシスタント、広告 会社、写真誌出版社などを経て、現在フリーランスのライター・ 編集者として活動中。国内最大のフォトグラファーズ&フォトビジ ネスフェア「PHOTONEXT」の企画運営にも携わっている。
2013/11/09(土) 00:00:00 |
写真集「世界」関連
「岡田敦『世界』レポート。美の視点についての一考察」 木下 恵修
■ 第二章
『世界』のテーマのひとつは、美しいと感じたものを、そのまま美として捉えることだった。苦のイメージをともないながらも、その先にある救いのような美の感覚。また、背景としての物語に左右されない意識など。作中にあるリストカット女性の腕や、東日本大震災による津波の後の岸辺、また木々が倒れて沈んでいる森の池などは見る者によって、美そのもの、あるいは崇高になるというわけだ。
いっぽうで、震災後風景のような写真を「美しく撮る」といった表現は、ある種タブーの範疇とする社会通念がある。たしかに、背景を知る者にとっては、おぞましい苦のイメージそのものかも知れない。だが岡田は、そこを避けて通ることをせず、あえて表現に落とし込んだ。ただし、奇をてらった凡百の発想からではない。この点について岡田は、「もともと三陸地方という美しい海がある場所に人が集まり、町ができ、生活が営まれた。不幸にも津波でそれらは流されたが、その様が美しいと言っているのではない。普遍としての存在が美しいのだ」と強調する。
たとえば、森の池の写真を見て、そこにおぞましい苦のイメージを感じるだろうか。現代に生きるわれわれには、この過程は知り得ない。すなわち背景・物語を直接知らない人間にとって、美しい事象は純粋なる美以外の何物でもないことを意味する。それでも、記憶に新しい事象に絡んだ風景を美として純粋に表現するには、岡田が述べているように、表面的な美しさに気を取られない信念、また普遍を覗き見る感受性のようなものが必要なのだ。それは震災に絡んだ風景に限らず、あらゆる場面において言えることだろう。単なる好奇心だけでは、作家の作品と呼ぶに値するものは生み出せないということなのだ。そうしたなかで、作家であっても、言わば大人の選択として空気を読むこと、すなわち背景や物語に沿ってジャーナリストのようなイメージで発信しなければならないのか(それのみが許されるのか)。ここに、岡田の問いがある。「このような線引きは、美(芸術)の世界に必要か」と。。。
いつかの将来、東日本大震災を知らない人々が、あるいは外国人が、津波後の岸部を見て純粋に美しいと感じても、それを不謹慎と断罪する人はいないだろう。美しいと思うものを見て、心から「美しい」と感想を述べる。美しいものを、ただ美しいと言う。それだけのことなのだから。。。あえてそれらを口にしない「空気」があるとすれば、それはある意味「裸の王様」的な、大人による無用な足かせに他ならない。
こんな気づきのエピソードがある。岡田が北海道に帰省し、甥っ子と遊んでいたときのこと。甥っ子が喜びながら岡田に駆け寄ってきて「蝶々をつかまえたよ!」と手をそっと開いた。覗き込んだ岡田の目に入ってきたのは、蝶ではなく、一匹の蛾だった。だが岡田は甥っ子に合わせ、喜んでみせたという。一般的に大人は、蛾に価値を見出そうとしない。だが蛾を知らない子供にとっては、蝶と差別する理由もなく、純粋な美の対象だった。
岡田は「いつか、こうしたアプローチも、普通のことになるだろう。そのときになって発表するのでは遅すぎる」と述べる。つまり「空気を読まず」に、『世界』にて作家らしいアプローチをまっとうした行為は、新たなパラダイムの発信であったとも言える。また『世界』は、単に岡田の世界観を表したという意味でつけられた名称ではない。これは、大げさに言うならば「私写真の範疇からの大いなる脱出」であり、一作家の内面というよりも、もっと広い、普遍性である。
◇ 木下恵修(キノシタ・ケイシウ)
1973年、福岡県生まれ。東京工芸大学大学院芸術学研究科写真領域修了。修士(芸術学)。大学ティーチングアシスタント、広告会社、写真誌出版社などを経て、現在フリーランスのライター・編集者として活動中。国内最大のフォトグラファーズ&フォトビジネスフェア「PHOTONEXT」の企画運営にも携わっている。
2013/11/08(金) 00:00:00 |
写真集「世界」関連
THE WORLD Photographs by OKADA Atsushi "THE WORLD"
First Edition / 2012/10/01
Art Direction / AKIYAMA Shin
Printing Direction / HANAOKA Hideaki
Publisher / HIMENO Kimi
Publishing House / AKAAKA ART PUBLISHING, Inc.
Printed in Japan
Size / 364×249mm (softcover)
Page / 170
Price / 5,250 Yen(In tax)
AKAAKA ART PUBLISHING, Inc.
http://www.akaaka.com/publishing/books/bk-okada-sekai.html How to order (EN)
https://hs34.drive.ne.jp/akaaka.com/company/c-howtoorderfl1.html
2013/07/18(木) 00:00:00 |
写真集「世界」関連
"写真界の芥川賞"といわれる木村伊兵衛写真賞を受賞した、いま最も注目すべき写真家・岡田敦の3年ぶりとなる新作。本作では写真集『I am』で発表したポートレート作品から更なる飛躍をとげ、海や杉林、太古の湖など、これまでの風景写真の意味合いとは違う、新しい写真の在り方を示している。目の前の世界を深く見つめ、内なる世界を捉えようとする写真のなかに、既存の意味や価値を脱ぎ去った、崇高な美しさが立ち現われる。
VIDEO 写真集『世界』
著者:岡田敦
判型:364mm×249mm / 170ページ
デザイン:秋山伸
発行:赤々舎
価格:5250円(税込)
Amazon. co. jp:『世界』
2013/06/04(火) 00:00:00 |
写真集「世界」関連
刊行が遅れていた写真集『世界』の書店での取り扱いがはじまりました 写真集『世界』(赤々舎)
判型:B4変型判 ( 364mm×249mm ) / 並製
頁数:170ページ
デザイン:秋山伸
プリンティングディレクション:花岡秀明
発行者:姫野希美
発行:赤々舎
価格:5250円(税込)
Book Previews:『世界』 Amazon. co. jp:『世界』
2013/05/18(土) 00:00:00 |
写真集「世界」関連
『デジキャパ!』2013年5月号 インタビュー記事掲載 ここは、きれいな湖として知られている場所ですが、なぜ木々が倒れなければいけなかったのか。つまり、かつて人命を奪うような災害があったという背景を知らなければ、人はこうした場所を観光地として売り出すことになるのではないでしょうか。僕がこの倒木をベルビアの濃密なトーンで撮ろうと思ったのは、ひとことで言えば、“美しさと恐ろしさが同居した世界”を表現したかったからです(本文から一部抜粋)。
発売日:2013年4月20日(土)
発行:学研パブリッシング
http://capacamera.net/dcapa/
2013/05/01(水) 00:00:00 |
写真集「世界」関連